イタリア共和国 Italian Republic


 

交  通  成田空港〜ミラノ・マルペンサ空港(所要:約13時間)など 
気  候  日本に似ている。国土が南北に長いため、地域による気温差が大きい
通 用 語  イタリア語
通  貨  ユーロ  (1ユーロ=100セント=約121円)
宗  教  国民のほとんどがカトリック
時  差  −8時間。サマータイム実施中(3月末〜10月末)は−7時間。

 


ミラノベニスフィレンツェピサシエナローマバチカン市国ポンペイナポリカプリ島

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【総 論】

■ 治 安

 イタリアは決して治安がいいとは言えません。ジプシー風の子供グループによるスリ、置引き、スクーターでのひったくりなどが多いようです。でも、各自が注意を払っておけば防げるケースも少なくないので、「バッグのファスナー部分に手を添えておく」とか、「首かけ・腹巻タイプの貴重品入れを使う」などの自助努力を。

交 通

 概してイタリアの車は勢いよく突っ走ってくるので、道路を渡るときは十分注意しましょう。
 イタリアの高速道路では「テレパス」という、日本のETCの元祖(10年前にイタリアがヨーロッパで初めて導入。でも開発したのは日本の技術者集団らしい…)といったシステムがあり、料金所付近の通行がとてもスムーズです。日本に浸透するのはいつのことやら。

■ チップ

 枕銭:0.5〜1ユーロ/ポーター:荷物1個につき1ユーロ位。
 レストランでは請求書にたいていサービス料が含まれているので、美味しかったり、受けたサービスが良かった時にお礼の気持ちという意味で置きます。
 トイレは、観光地やドライブイン・公衆トイレなどでおばさんが立ってる時にチップが必要になります。値段が決まっていてお釣りが返ってくるところもありますが、大体30〜50セント位です。

ユーロ硬貨のデザインって片面はEU加盟国共通でも、もう一方の面は各国独自のデザインになってるって知ってました?イタリアでは、レオナルド・ダ・ヴィンチの“理想的な人体図”やボッティチェリの“ヴィーナスの誕生”などが採用されています。ユーロ導入によって、イタリアでは博物館の入場料をはじめ、ありとあらゆるものが便乗値上げされたとか…。

■ マナー

教会で
 教会はイタリアの代表的な観光スポットですが、ミサや結婚式が行われる神聖な場所です。お祈りしている人の前をむやみに横切ったり、フラッシュをたいて写真を撮るなどの行為は慎みましょう。また、ノースリーブのシャツや、膝の見えるミニスカート・短パンなど露出の多い服装での入場は避けましょう。

近年までそれぞれの町が独立国家だったイタリアでは、必ずと言って良いほど一つの町に一つの大聖堂(ドゥオモ)が残っています。町は大聖堂を中心に広がり、大聖堂は町のランドマークになっているのです。
 イタリアは2000年に聖なる年を迎え、教会をはじめとして主要な建物の修復、汚れ落しの作業が終わり、 どの建造物もとてもきれいです。また修復ラッシュだったイタリア絵画も、洗浄や修復を終え色鮮やかに美しくよみがえっています。レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』、ボッティチェリの『春』、システィーナ礼拝堂のミケランジェロの天井画・祭壇画…。イタリア初めての人は勿論、1999年以前に訪れてる人にもオススメです。

お店で
 お店に出入りするときは店員さんに気軽に挨拶してみましょう。陽気なイタリア人は挨拶を交わしたらもう友達!
入る時:午前は「ブォン・ジョルノBuon giorno(こんにちは)」、午後は「ブォナ・セーラBuona sera
出る時:「グラツィエGrazie(ありがとう)」、「アリヴェデルチArrivederci(さようなら)」「チャオCiao

 イタリアで買い物する時に注意したいのは、勝手に商品に触らないということ。むやみに商品に触ると、店の人にイヤな顔をされたり、怒られます。商品をある程度買うと決めて、店員に了解を得てから手にとりましょう。
 イタリア人は昼休みを長く取ります(ローマやミラノなどの大都市では昼休みを取らない店も増えてきていますが)。商店の中には13時から16時ごろまで休むところも。定休日は基本的に日曜・祝日。月曜も午前中は休みのところが多いようです。

青空市場(メルカート)
 朝5時くらいから午後2時くらいまでの市。野菜や果物、肉、チーズ、花、下着、古着、アクセサリー、アンティーク風の家具、キッチン用品などが並び、生活感たっぷり。野菜や果物は基本的に「100gいくら」といった量り売りです。

■ 料理

 イタリアンは朝はミルクたっぷりのカプチーノとクロワッサンで軽く済ませ、昼または夜に時間をかけて「前菜→スープ/ピッツァ/パスタ→肉料理/魚料理→ドルチェ(デザート)&エスプレッソ」とコースで食べます。
 南北に長いイタリアは、地形・気候・風土とともに、料理も各地で異なった文化を持っています。例えば…

ミラノ(ロンバルディア州):イタリアの米どころ。酪農も盛んで肉類・乳製品が美味しい。
・ミラノ風リゾット(サフラン味の黄金色リゾット)
・ミラノ風カツレツ(仔牛肉をたたいて薄くのばし、パン粉をつけて焼いたもの) etc
 
‘金’が体に良いとされた中世以来の伝統で、ミラノ風と名のつく料理の多くが鮮やかな金色をしています。ミラノ風カツレツがこんがりと黄金色をしているのも、こんな由来があったから!?

ベニス(ヴェネト州):魚介類が豊富。あっさり味のものが多く、日本人の舌にもなじみやすい。
・イカ墨のスパゲッティ、魚やイカ・エビのミックスフライ etc

フィレンツェ(トスカーナ州):素材の味を重視した素朴な田舎風料理が中心。
・フィレンツェ風Tボーンステーキ(塩・コショウのみの味付けで直火で豪快に焼き上げてます) etc

トスカーナ州は有名な赤ワイン「キアンティ」の産地。イタリアはワインの生産量、輸出量、ともに世界一を誇るワイン王国。

ローマ(ラツィオ州):味が少し濃厚。カルチョフィ(アーティチョーク)も名物。
・カルボナーラ(日本でもおなじみのこのパスタはローマ出身)
・サルティンボッカ・アラ・ロマーナ(仔牛肉に生ハムをのせて焼き、白ワインとレモンのソースで味付けしたもの。料理名は「美味しくて口の中にスイスイ入る」という意味だとか)

・ピッツァ・カプリチョーザ(カプリチョーザとは「浮気者」という意味で、いろいろな具がのってます) etc

ナポリ(カンパニア州):ピザ発祥の地。南米原産のトマトを料理に欠かせない食材に品種改良したのがナポリだそうです。
・ピッツァ・マルゲリータ(1pくらいの厚めの生地にトマトソースとチーズをのせただけのシンプルなピザ) 
 
・ボンゴレ・スパゲッティー(あさりのスパゲッティーはナポリ地方の代表パスタ)、ポモドーロ(トマトソースのスパゲッティ) etc


イタリアでコーヒーと言えばエスプレッソ。深煎りしたコーヒー豆にはカフェインがほとんど含まれていないので、胃への刺激が少なく、苦味成分にも脂肪を分解する働きがあるそうです。イタリア料理のこってりした後味をその苦味で調和し、さらに身体に溜まった脂肪分を取り除いてくれる。エスプレッソはイタリア人の知恵といったところでしょうか。

旅行中は健康管理に気をつけるもの。なのでは、ミネラルウォーターを飲みましょう。ちなみにヨーロッパの方はミネラルウォーターでも、炭酸入りの水を好んで飲むようですが、日本人の中には合わない人も多いようです。炭酸なしのものを確認して買いましょう。

■ お土産

 イタリアには様々なお土産がいっぱい。ワイン、オリーブオイル、パスタ、トリュフ、ポルチーニ茸(イタリア版松茸!?)、バーチチョコ(Baci“貴婦人のキス”という名前のイタリアで一番有名なチョコ)、コモ湖周辺のシルク製品(スカーフ、ネクタイなど) etc。
 またベニスではベネチアングラス、レース製品、カーニバルの仮面。フィレンツェでは革製品、金細工、マーブル紙と、地域によって個性的な名産品もあります。女性へのオススメはカメオ(ナポリ近郊が産地として有名)。古代ローマ時代には、メノウなどの宝石に女神の肖像を彫ったカメオが戦地に赴く夫や恋人の無事を願う“お守り”として、女性から男性に贈られたそうです。ルネサンス以降、イタリアではカメオの素材は貝が主流になり、今では、祖母から娘、孫へと伝えられる宝物になっています。

 

【ミラノ Milano】

 ミラノコレクションで有名な国際的ファッションの中心地。商業・工業・銀行などでイタリア経済をリードする、北イタリアの玄関口。

ミラノ大聖堂(ドゥオモ)

 ミラノのランドマークとして町の中心に建っています。完成までに約500年かかったこの建物は、イタリアゴシック建築の中でも最高傑作といわれ、針を立てたような無数の塔とたくさんの彫像で飾られた外観は圧巻。よ〜く見ると、その針のような尖塔の先にも聖人の像が…、その数135本。最も高い中央の尖塔には4mの黄金のマリア像がそびえ立っています。階段orエレベーターで屋上に上がれるので時間のある人は是非!
 ドゥオモ広場では、ハトエサ売りに要注意!勝手に人の手のひらに「サービス!」なんて言いながらエサをのせ、後から料金を請求してくることも。結構強引なので、興味がなければ強気に断りましょう。

   

■ ヴィットリオ・エマヌエレ2世アーケード

 ドゥオモ広場とスカラ座を結ぶ十字型アーケード。ガラスと鉄で出来たドーム型の天井、大理石の床、中央十字路の天井に描かれた4大陸のフレスコ画、どれをとっても120年の歴史と風格が感じられます。十字路の床には雄牛のモザイクがあるのですが、この雄牛の局部に片足のかかとを置いて1回転すると「幸運が訪れる、金運に恵まれる」と言われているそうです。
 “プラダ”の本店があるのもここ。そしてプラダのお向かいは“マクドナルド”。さすが、世界のマック!アーケードを抜けると、オペラの殿堂・スカラ座前に出ます。

■ スカラ座

 イタリアが世界に誇るオペラ劇場。プッチーニ作『蝶々夫人』など数々の名作の初演がここで行われました。オペラシーズンは12〜6月。前の広場にはレオナルド・ダ・ヴィンチ像が立っています。

■ スフォルツェスコ城

 ミラノ公爵の居城だったところで、現在は博物館になっています。出口近くに、ミケランジェロの遺作『ロンダニーニのピエタ』が大切に飾られています。目がほとんど見えない状態で、亡くなる直前までのみをふるっていたと伝えられる未完の作品で、ミケランジェロのピエタ像の終着点です。

 

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【ベネチア Venezia】

 水の都ベネチアでは、車・自転車の使用が禁止され、バスもタクシーも物を運ぶトラックだって、町の交通機関はすべて船。水に浮かぶこの不思議な町、海抜は80pだそうで、このまま地球の温暖化が進むと近い将来、ベネチアは水没してしまうことになるでしょう。この美しい町を守るためにも私達は、地球環境を世界レベルで考えていかないといけないんですよね。

サン・マルコ寺院

 豪華絢爛な金色のモザイクで、別名“黄金のバシリカ(教会)”として世界的に有名で、モスク風の5つのドームが東方の香りを漂わせています。9世紀にエジプトのアレキサンドリアから、ベネチアの守護聖人として持ち帰られた聖マルコの聖遺骸を祀っています。

■ ドゥカーレ宮殿・ためいき橋

 総督の住居・政庁・裁判所が置かれ、ベネチア共和国の権力・富・繁栄の象徴だった建物。交易相手のビザンチンやイスラムなどの影響を強く受けており、西欧のオリエント都市としてエキゾチックな佇まいを今に伝えています。
 宮殿横の円柱上にある翼をもつライオンは、ベネチアの守護聖人・聖マルコの象徴として作られました。
 宮殿の順路に従っていくと、かつて囚人が投獄されるとき、この世の見納めに外を見て溜息をついたというためいき橋を通って、薄暗い牢獄も見学できます。渡り廊下のようで橋とは知らずに通り過ぎてしまうかも…。

■ サン・マルコ広場

 サン・マルコ寺院前に広がる共和国時代からの町の中心地。かつてナポレオンが「ヨーロッパで最も美しい客間」と賞賛したそうです。寺院前にそびえるのは、かつて監視塔と灯台の役目を担っていた大鐘楼で高さ99m。エレベーターで頂上の展望台へ上ると、広場はもちろん、海に浮かぶ島々も一望のもと。絶対オススメのビュー・ポイントです。(有料 6ユーロ=約720円)

ベネチアのお土産といったら、やっぱりベネチアングラス!1000年の歴史があるといわれるべネチアングラスは、かつてはムラーノ島に職人をすべて閉じ込めて製作させていたというイタリアを代表する伝統工芸。伝統的な技法が、マエストロ(親方)のもとで受け継がれており、工房では吹きガラスの製作工程を見学できます。
 ガラスと並ぶベネチアの伝統工芸に、ブラーノ島のレースがあります。ただ土産物屋などではアジア製の安価なレース製品も売られているので、あまりにも安い商品は注意しましょう。

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【フィレンツェ Firenze】

 イタリア・ルネッサンスの中心地だった花の都フィレンツェは、そこかしこに美しい歴史的建物が残っていて、町全体が美術館のよう。町自体が歴史文化保存地区のため、観光バスの乗り入れが禁じられているのですが、町は徒歩でまわるのにちょうど良い大きさ。道に迷った場合も、たいていの場所から建物の合間にドゥオモの巨大なクーポラが見え隠れしているので、それを目印にすれば大丈夫。

■ ドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)

 聖母マリアのために造られたこの寺院は「花の聖母寺」とも呼ばれ、その巨大な赤いドーム(クーポラ)が町のシンボルに。ドゥオモにも、隣のジョットの鐘楼にも、階段で屋上へ上れ、市街が一望できます。

■ サン・ジョヴァンニ洗礼堂

 ドゥオモに面して建つ八角形の建物。見所はミケランジェロが「天国の門」と讃えたギベルティ作の東の扉。扉には旧約聖書の物語が浮き彫りになったパネル10枚がはめ込まれているのですが、これは精巧に出来たレプリカで(オリジナルはドゥオモ付属博物館に)、なんとある日本人の個人の寄付金で復元されたそうです。

■ ヴェッキオ宮殿

 現在も市庁舎として使われています。入り口付近に、ミケランジェロの作品『ダヴィデ』のレプリカが立ってます。元々オリジナルがミケランジェロの希望でここにあったそうですが、現在はアカデミア美術館にあります。

■ ウフィッツィ美術館

 イタリア・ルネッサンス美術の宝庫。芸術家達のパトロンとなったメディチ家のコレクションが多く、ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』『』、ダ・ヴィンチ『受胎告知』、ミケランジェロの『聖家族』、ラファエロの『自画像』…と世界に名だたる名作がズラリ。
 何気に私のオススメは、回廊の天井。グロテスク装飾といって、謎の怪物とか妖怪の絵がキモチ悪くもキレイに描かれていて、オシャレ。

フィレンツェの町の至るところで見かけるのが、メディチ家の紋章。デザインは少しずつ違うのですが、必ず中央に6つの玉があります。この玉は、メディチ家の家業である金融業の「金貨」とも、元々行っていた製薬業の「丸薬」ともいわれています。巨万の富を築きあげ、数多くの芸術家をバックアップしたメディチ家も、フィレンツェの弱体化とともに歴史の表舞台から消え、18世紀半ばには断絶。最後の当主がフィレンツェから持ち出さないことを条件にトスカーナ公国に寄贈したメディチ家の膨大な遺産が、現在のウフィッツィ美術館の母体になったそうです。

■ ヴェッキオ橋

 フィレンツェ最古の橋。2層作りの珍しい構造で、上層部はかつてウフィッツィ宮・ヴェッキオ宮とピッティ宮を結ぶ通路として使われていました。下層にはそれまで肉屋や八百屋が並んでいたそうですが、時の権力者が通路を渡るのにニオイが嫌だと全て撤去させて、美しい貴金属・宝石の店を並べたといわれています。現在でも橋の両側には、橋と気づかないくらい宝飾店がビッシリ軒を連ねています。

■ サンタ・クローチェ教会

 フィレンツェのパンテオンとして知られるところ。堂内にはミケランジェロ、ダンテ、マキャヴェリ、ガリレオなどイタリアの偉人が眠っています。

■ ミケランジェロ広場

 アルノ川をはさんで、フィレンツェ市街を一望できる小高い丘の上の広場。ブロンズの『ダヴィデ』君が迎えてくれます。ここからの景色は、まるで一枚の絵のよう。

 

 

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【ピサ Pisa】

 斜塔とガリレオで有名な町。
 斜塔は、大聖堂・洗礼堂・納骨堂と一緒に、「奇跡の広場」と呼ばれるドゥオモ広場一帯にあります。それまで斜塔は単体と思っていたので、まわりに立派な建物があることにビックリ…。真っ青な空と鮮やかな緑の芝生に大理石の建物の白さが映えて、「奇跡」のように美しい光景に見惚れてしまいます。

斜塔

 誰もが「百聞は一見にしかず」という意味を実感するでしょう。この塔は12世紀にドゥオモの鐘楼として建設中に、早くも地盤沈下によって傾き出し、最上部だけまっすぐに造ったイワク付の建物。最近まで「このままでは倒壊する!」と大騒ぎで、太いワイヤーで背後から引っ張っていたとか。塔をまっすぐにしてしまったら斜塔≠カゃなくなるし、観光の目玉がなくなったら大変…。現在は修復が終わって、予約すれば斜塔に上ることもできます。
 ガリレオがここから羽毛と鉄球を落として落下の法則を実験したことでも有名ですよね。
 観光客がそろって斜塔を支えるポーズで記念写真を撮ってる姿が笑えます(自分もその1人なんだけどね…)。

ドゥォモ

 11世紀のパレルモ沖海戦(対イスラム教徒)を記念して造られたそうです。何を隠そうピサはかつて、ベネチア・ナポリ・ジェノバと肩を並べる海運国家だったのです(今では海岸線は遠く離れ、港も砂に埋まってしまったそうですが…)。

■ 洗礼堂

 洗礼堂は内部の音響効果が素晴らしく、12回も音が反響するそうで、係員のおじさんが顔に似合わず天使のような素敵な声でその音響効果を実演してくれます。様々な音階の「ファー」という声がドームの中で共鳴して、本当に神秘的で、天国の音楽ってこんな感じかなと思えてきます。音が消えて静寂が戻ると「ブラボー!」の拍手喝采、おじさんのちょっと照れくさそうな表情が素敵でした。

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【シエナ Siena】

 トスカーナの古都シエナは、糸杉、ブドウ畑、なだらかな丘、森など、中世の面影を今日に残す町。普段は静かなこの町も、夏の伝統行事パリオ(競馬)の時期には雰囲気を一変させ、熱気あふれる町になるそうです。

■ シエナ大聖堂

 聖母マリアに捧げられた大聖堂。大聖堂も隣の鐘楼も濃い緑色と白色の大理石を組み合わせて造られ、外観だけでなく内部も美しいシマウマ模様になっています。

■ プッブリコ宮殿(市庁舎)

 カンポ広場に面して建ち、高さ102mのレンガの塔を持つ古都シエナのシンボル。高い所好きの私は、ここに上ってシエナの町を見渡せなかったのがかなり残念…。

■ カンポ広場

 プッブリコ宮殿の前にある世界一美しいといわれる扇形の広場で、緩やかな傾斜がついています。祭り“パリオ”の舞台はここ。パリオいうのは、競馬の勝者に与えられる旗のことだそうで、シエナの各地区を代表する騎士たちが中世の衣装を着て暴れ馬を巧みに操り、この広場の外周を競馬場に見立てて競いあうそうです。シエナの町は、ゾウ区、ワシ区、サイ区、カタツムリ区、アヒル区…というように動物で17の地区に分けられていて、パリオではゾウ区とアヒル区がライバルだとか。おとぎ話のような町並みに似合う、なんともかわいい区分ですよね。

  

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【ローマ Roma】

 町全体が巨大な博物館のようなローマの町。遺跡や美術館めぐり、ショッピング、レストランやジェラートを楽しんでるうちに、一日はあっという間に過ぎてしまいます。まさに「ローマは一日にしてならず」です。

■ コロッセオ

 紀元80年に完成した収容人員約5万人という古代ローマ最大の円形闘技場。ここで剣闘士の戦いや、ライオンなどの猛獣狩りが行われ、罪人の処刑さえも娯楽として市民に公開されたそうです。100日間におよんだ落成式では、5,000頭の猛獣と、数百人の剣闘士が犠牲になったとか…。「コロッセオが崩れる時、ローマは滅び、そのとき世界も滅びる」と謳われたそうですが、外観を覆っていた大理石は後世、バチカンなどの建築資材として持ち去られてしまいました。「兵どもが夢のあと…」ですね。周辺では映画『グラディエーター』が流行って以来、記念写真用のなんちゃってグラディエーター≠スちがウロウロしてます(記念写真:1回1ユーロ)。
 近くには、ローマ最大というコンスタンティヌスの凱旋門や、フォロ・ロマーノといって古代にタイムスリップしたような巨大な遺跡群が広がっています。近くの舗装道路の下にも似たような遺跡がまだ眠っているそうです。

■ トレビの泉

 ローマ市内最大の噴水で、1日8000万リットル、25mプール約300杯分の水が毎日流れ落ちているそうです。この泉に背中越しでコインを投げると、再びローマに戻ってこられるという言伝えは有名ですよね。
 泉の右手の通りに、映画『ローマの休日』でアン王女が髪を切ったお店が、今は鞄屋となって残っていて、映画の写真が飾ってありました。

■ スペイン広場・スペイン階段

 『ローマの休日』で有名なこの階段は、いつでもたくさんの観光客で賑わっています。
 階段から広場に向かって正面がコンドッティ通り。グッチ、ブルガリ(本店)、フェラガモなど高級ブランド店が軒を連ね、紙袋をいっぱい提げた日本人がいっぱい。

■ 真実の口

 嘘つきが口に手を入れると噛みつかれるという伝説で、ローマでいちばん有名な顔。『ローマの休日』で登場以来、手を入れる人が絶えないために口の部分の磨耗が激しいとか。この円盤は古代ローマの井戸orマンホールの蓋と言われてます。

■ ヴェネツィア広場

 地理的に町の中心地にあたり、「ローマのへそ」。広場前の白大理石の立派な建物は、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂。19世紀末のイタリア統一を記念して建てられたもので、市民からは「タイプライター」とか「入れ歯」などと揶揄されているとか。

■ サン・タンジェロ城

 2世紀にハドリアヌス帝が自分の墓として建てたもので、6世紀にペストがローマを襲った時、大天使ミカエルがこの地に現れ、剣で疫病を追い払ったという伝説から、サンタンジェロ(聖天使)城と呼ばれるようになったそうです。中世以降は、要塞、政治犯の牢獄、教皇の避難所・住居としても使われ、現在は博物館として公開されています。

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バチカン市国 Citta del Vaticano】 

 バチカンは、人口:約1,000人、面積:日比谷公園の約3倍、城壁で囲まれた国土を一周しても40分で足りる、という世界最小の独立国家。サン・ピエトロ寺院とバチカン美術館には誰もがパスポートなしで自由に入れ、市国の出入口にはミケランジェロがデザインしたカラフルな縞模様の制服を着たスイス人の衛兵が立っています。

■ サン・ピエトロ大聖堂

 世界に10億人近い信者を持つカトリックの総本山であり、ミケランジェロのクーポラ(ドーム)で有名な世界最大の教会。
 4世紀にコンスタンティヌス帝が、皇帝ネロに迫害され殉教した初代ローマ教皇・聖ペテロ(サン・ピエトロ)の墓の上に寺院を建設したのが始まり。その聖ペテロの祠の上に、ペテロの後継者であるローマ教皇の祭壇が置かれています。一歩中へ入った途端、その壮大さ・荘厳な雰囲気に息を呑んでしまいます。夕方のミサの時間に入ったのですが、パイプオルガンの調べと天窓から降り注ぐ陽光が神秘的でした。

 「聖なる扉」 大聖堂正面にある5つの扉のうち、右奥にある聖なる扉は、キリスト教徒が25年に1度迎える節目の年「聖なる年」にだけ教皇の手によって開かれるもので、この扉を通って寺院に入ると、それまでのすべての罪が償われるとされています。

 

 ピエタ像」 ミケランジェロが23歳のときに2年を費やして作ったピエタ像。ピエタとは「嘆き」の意味で、十字架から降ろされたキリストと、そのキリストを抱くマリアのことを示しています。偉大な芸術家・ミケランジェロの人生は、このサン・ピエトロ大聖堂の『ピエタ』で幕を開け、ミラノ・スフォルツェスコ城の『ピエタ』で幕を閉じました。

 玉座の聖ペテロのブロンズ像」 聖ペテロはキリストの第一の弟子で、キリストから天国への鍵を渡された永遠の生命の番人。このブロンズ像の足の部分をよく見ると、世界中の敬虔なカトリック教徒たちのキスによって右足の親指部分が擦り減ってしまっているのが分かります。

 聖ペテロの司教座」 大聖堂の一番奥にあります。上部のステンドグラスに描かれた金色のオーラに包まれた聖霊の鳩が印象的。

サン・ピエトロ広場

 バチカン市国の正面玄関。毎週日曜日の正午には、教皇が自室の窓から、広場に集まった人々に祝福を授ける姿を拝見することができます。
 広場の下は、おととしの大聖年2000年を迎えるにあたって巨大地下駐車場になりました。

 

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ポンペイ Pompei】

■ ポンペイの遺跡

 紀元79年8月24日に起こったベスビオ火山の噴火で、一瞬にして地上から消え失せたという町。まるごと発掘されたポンペイの町の中を歩くと、当時の町の豊かさとローマ人の知恵が伝わってきて、弥生時代にこんな都市整備がされてたなんてタダタダ脱帽。
 町の中心フォロには裁判所だったバシリカや神殿が、碁盤の目のような町並みにはパン屋、薬屋、居酒屋といった商店や、公衆浴場、売春宿までが軒を連ねています。道は車道と一段高い歩道に分けられ、車道には飛び石の横断歩道が置かれています(飛び石なのは馬車が通るためのアイデア!)。道には所々に小さな白い石が埋まっているのですが、これは月の光を反射して光る道しるべだったそうです。私のお気に入りは、家の玄関口にあった「猛犬注意!」と書かれた犬のモザイク。そうそう、ポンペイの遺跡にはまるで「ボクの家にようこそ!」と言わんばかりに遺跡内を自由に歩きまわるノラ犬が沢山います。

イタリアの日差しは強烈。春先でも天気の良い日はかなり暑いです。特にポンペイは屋外博物館といってもいいくらい、日陰が少ない&すごい砂埃なので、帽子、日傘、サングラスやミネラルウォーターのご用意を。

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ナポリ Napoli】

■ 国立ナポリ考古博物館
 ポンペイからの出土品が数多く展示されています。ポンペイ出土の『アレクサンダー・モザイク』は、小石片を埋め込んで描いたもので、馬にまたがって戦うアレクサンダー大王の姿が躍動的に大画面に描かれています。ポンペイの壁画は鮮やかな彩色の“ポンペイの赤”が特徴です。

■ ポジリポの丘

 澄み渡る空の下、斜面に広がるナポリの町、紺碧のナポリ湾に浮かぶカプリ島、そしてベスビオ火山を一望のもと。「ナポリを見て死ね」とまで言われる素敵な景色です。

南イタリア最大の港町ナポリは、バイクによるひったくりなど、その治安の悪さが有名で、旅行者だけでなく地元民も被害に遭うのだとか。現地ガイドのボーフレンドのお父さんは生まれも育ちも生粋のナポリっ子なのに、ワル者に囲まれてコートを盗られたそうです…。
 旅行中、貴重品以外に気をつけたいのが交通。ナポリで信号無視は当たり前。横断歩道が青でも車が突っ込んでくるし、路上駐車は2重、3重(一番内側の車って出る時どうするんだろう)当たり前。バイクもノンヘルで2人乗り3人乗り(夫婦&子供)が普通ときてる。それでもナポリは人間味あふれる陽気な南部最大の都市として訪れる人が多いんです。

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カプリ島 Capli】

■ 青の洞窟

 カプリ島といえば青の洞窟!でも、見学までの道のりは想像以上に遠いものでした。
  「青の洞窟」は、悪天候では勿論のこと、天気がよくても満潮時や波の高い日は見学できません。私達の行った日は朝から小雨…。ガイドさんから「ナポリ〜カプリ間の高速船で、白いビニール袋(エチケット袋)を渡されたら、100%見学不可能と覚悟してください」と言われた矢先、船内係員が船酔いの人に袋を配っているのを目撃!ナポリからカプリ島までの約40分間はほとんど諦めムード。それでも数パーセントの可能性に賭けて、30人乗り位の船に乗り換えて洞窟前で待機。洞窟周辺にはいつのまにか見学待ちの船の渋滞…。しかも、洞窟そばの階段にも陸路で来た見学者の行列が…。海上で6人乗りの小さな手漕ぎボートに乗り換え、とうとう夢にまで見た私達の順番が!ボートがやっと1艘通れる程度のものすごく狭ーい入り口から、乗客はボートに仰向け&後ろの人の足の間に頭を入れて、というすごい体勢で、やっと念願の洞窟内へ!
 晴れて洞窟内部に入るとそこには「天然バスクリン…!?」と思わんばかりの何とも不思議&幻想的な青の世界が広がっていました!「ホーォ」見惚れていると、船頭のおじさんが「♪帰れ、ソレントへ」を気持ちよさそうに歌っていました、「ここは風呂場か!?」。つかの間の夢のような体験の後、船頭さんたちは「チップ、チップ」と請求してきます。相場は1ユーロと決まっているようですが、ちょっと興ざめ!?
 海路の場合(ツアーではほとんど海路コースのようです)、入場まで港から早くて30分、観光シーズン中は波に揺られて2時間半待ちなんてこともあるそうで、乗り物酔いする人には地獄の観光ポイントかもしれません。しかも、洞窟内にいるのはせいぜい5分強…。それでもやっぱり見る価値大なのが「青の洞窟」なのです。

■ ウンベルト1世広場

 港からフニコラーレと呼ばれるケーブルカーで上ります。老舗カフェのある南欧リゾート気分あふれる広場で、周辺にはプラダやミュウミュウ、フェラガモといったショッピングのできる通りもあります。カプリ名産レモンのリキュール「リモンチェッロ」を売ってるお店もあり、試飲ができるところもあります。さわやかで飲みやすくお土産にもオススメ。

■ アウグストゥス公園

 カプリ島の上の町アナ・カプリにあり美しい花々を楽しめる庭園。ファラニオーニの岩島群を見ることが出来ます。公園までの道のりもオレンジやレモンの木を眺めたり、かわいらしいタイルが飾られた家があったりで飽きることがありません。

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この情報は2002年5月時点のものを基本としています。
<2004年6月更新>


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